赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「っふ……。私、馬鹿みたいじゃない……」

涙は堪えたが、声は震えてしまった。


ジュークは本当に自分の事など全く見ていなかったのだ。

叶わぬ恋だと諦めていても、ずっと想い続けていたのに……。



それに、このままではジュークは娼館街に来なくなるのではないだろうか。

ジュークの一番の目的は血を吸う事だ。

本当は愛する者の血が少しあれば大丈夫なのだと、以前チラリと彼が口にした。


その愛する者がキサラだとしたら、彼女と結婚すれば他の女の血は要らなくなるということではないか?


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