赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「怪しい者ではありません。私はジル、旅の占い師です」

「……」


フードを目深に被っている時点で怪し過ぎるくらい怪しいのに、占い師とはまた怪しい。

なのに怪しい者では無いとはよく言えたものだ。



「キサラがいなければ、マクスウェル伯爵は今まで通り貴女の下へ通うでしょう」

「っ……」

話を戻され、またカッとなりかける。

でも、ジルの言葉は不思議なほどに心に響く。


「死んで欲しいとかいうわけでは無い。ただ、いなくなってくれさえすれば良い」

(そうよ。ただ、いなくなってくれさえすれば良いの……)
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