赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
そうしてアンジーに会って欲しいと言われて……。

(ああ、そうだ。それで頭をぶつけたんだっけ)

思い出したが、それなら何故アンジーがここにいるのだろう。

アンジーの方が城に訪ねて来たのだろうか。


その疑問が間違いだったことはすぐに分かった。

軽く瞬きをしたキサラは、今自分がいる場所が城の自室では無く何処かの森の中だと知る。


辺りは薄暗く、もう日は落ちたのかも知れない。

それでも風に木の葉が揺れ擦れる音が聞こえる。

地面の湿った土の匂いがする。
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