赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
それに自分の意思ではないとはいえ、もうアンジーの所へ来てしまっているのだ。

それなら早く用事を済ませて帰った方が得策だろう。


キサラはクルスに「分かりました」とだけ言い、立ち上がってアンジーに向き直った。

「こんばんは、アンジーさん。あたしに何か用事があるとか」

こちらから話しかけると、アンジーはフッと困り笑顔で答えた。

「用事という程のものでは無いわ。ただ貴女に、何処か遠くへ行って欲しいと思って」

「……」

少し前までジュークに言われた言葉をそっくりそのまま口にされ、奇妙な既視感を覚えたキサラは沈黙してしまった。
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