赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
だが歪んだ顔は泣きそうにも見えて、キサラは首を締められているのにアンジーを嫌う事すら出来なかった。

ただ、その愛憎に憐れみが湧いて来る。

そして、罪悪感も……。


こんな風に憎む程、彼女はジュークの事を想っているのだ。

なのに自分はどうなのだろう。


恋なんて知らない。

愛なんて分からない。

ジュークの事を想っているのかも、よく分からない。


アンジーの様にジュークを想っている女性を差し置いて、こんな自分がジュークの婚約者としていても良いのだろうか?

そんな思いのためか、アンジーの腕を強く振り払う事が出来なかった。


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