赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
遠くへ行ってと言われても、行くところなど無い。

応えたいと思ったメルリナの期待にも応えられなくなる。

それに、初めは遠くへ行けと言っていたが、今は言わなくなったジューク。


こんな状態のまま終われない。

全てを放り出して、何も無かった頃には戻れない。


アンジーの頼みに、応える事は到底出来なかった。


「ねえ、良いでしょう? 元々身分違いなのだもの。村に帰っても、ほとんどの人はおかしいとも思わないわ」

安心させる様にアンジーは微笑む。

だが、頷くわけにはいかない。
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