赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
(いやいや、今はそんな事をしている場合じゃなかった)

衝動を抑え込む様にジュークはキサラから目を逸らし振り返った。


アンジーの姿が見え何とか落ち着きを取り戻す。

ただ、代わりに冷めた怒りが湧いたが……。


「さて、俺はキサラの血を飲んだぞ? もうキサラは不要などでは無い」

「あ、ああ……」

振り返った時点で青ざめた顔をしていたが、ジュークがそう告げた事でアンジーは絶望に崩れ落ちる。


アンジーにとってはジュークがキサラの血を飲まない事が最後の希望だった。

それが目の前で唐突に奪われてしまったのだ。

絶望するのは当然の事だった。
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