赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
ずっと、遠くにいれば良かったのだ。

遠くにいた今までも癇《かん》に障る存在だったが、こうして近くで見ると更にイラついてしまう。


(いっそ、殺してしまえればいいのに……)


娘の白い首に手を掛ける。

温かく、脈打つ血管。

そこに牙を立て、流れ出る雫を飲めば自分は楽になれる。

分かっている。


だがそれはこの娘を花嫁と認める事にもなってしまう。
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