赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「彼女は伯爵を想うが故に周りが見えていなかった。あの様に目の前で想いを砕かれては熱も冷めるでしょう」

「……」

ジルの説明にセラは何も答えなかった。

ただ少し考え、ゆっくり別の人物の事を話し始める。


「……そういえば、クルスの事ですが」

「はい?」

予期せぬ人物の名前に、頭の上に疑問符を上げるジル。

だが、続いた言葉に納得した。


「キサラ様を勝手に連れ出すとはとんでもない事をしてくれました。ダンテ様に言って解雇していただかなくては。……解雇金として人気の娼婦を身請け出来る位の額を支払えばクルスも文句は言わないでしょう」
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