赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「そう言う事ですか」とジルは微笑む。

クルスならば、きっと根気良くアンジーを支えていくだろう。

珍しく口を優しい笑みの形にした。


そうして一息つくと、ジルは一番彼女に言いたかった事を口にする。


「それにしても今回は本当に貴方を探すのに苦労しましたよ。まさかあんなに嫌っていた吸血鬼の所にいるなんて……」

「あら? 吸血鬼と言う存在は今も大嫌いですわ」

感情のこもらない声。

だが“大嫌い”の部分に力が込められている様にも聞こえた。
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