赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
まさかそのフライパンでジュークを叩いたのだろうか?

その推測は恐らく当たっているのだろう。
痛みに耐えたジュークはセラに怒りの声をぶつけた。


「セラっ! お前、仮にも主《あるじ》の頭になんて事を!?」

(自分で“仮にも”なんて言ったらダメだと思う……)

そのツッコミはキサラの心の中だけに留めたーーのに。


「ご自分で“仮にも”などと申していては終わりですね」

セラはハッキリと口にした。

「くっ……」

悔しげに押し黙ったジュークに、セラは頬に指を添えため息をつく。


「私だってこんな事したくは無かったのですよ?」
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