赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜

手にしていたフライパンをいつの間にかどこかへしまい、キサラをジッと見つめている。

数秒見つめ合ったかと思うと、セラの顔がフッと一瞬だけ微笑みに変わり驚いた。


子供に関する話をしているとき以外で彼女の表情が変わったのを見たのは初めてだ。

だが、その表情はすぐにいつもの無表情に変わり、微笑んだ理由も明かされないまま彼女はキサラへと近付く。


「と言うわけですので、まずは早く着替えませんと」

「え？　あ、そうですね」

戸惑ったが、もう朝食の準備が出来ているなら早くした方がいいと思い直した。


「さあ、ジューク様もご自分のお部屋に戻ってさっさと着替えて来て下さい」

セラが無遠慮に告げるが、ジュークはすぐには動かなかった。