赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
聞こえない様に話しているとはいってもこんな人前で……。

こんな利己的な愛の言葉を口にするなんて……。


(本当に自分勝手な人)

ほとんど諦めに近い気分でキサラはそう思う。


「何やってるんですか? 早く着替えて来て下さいと言っているではありませんか」

そう言ったセラはジュークを追い立てる。


(でも、仕方ないか)

離れて行くジュークを見ながら小さくため息をついた。


仕方ない。

何故なら、自分もジュークを愛しているのだから。

彼の愛を拒む理由なんて欠片も無いのだから。


だから、仕方ない。
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