赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
朝日が窓から食堂に差し込む。
その窓を背後にして座る年配の女性は食事の手を止めて話をしていた。
「私も結婚した当初は夫とずっと一緒にいたのよ。仕事中は流石に無理だったけれど。ああ、でも街に視察に行くときなどは一緒に行ったわね」
昔を思い出しながら、メルリナはまなじりを下げてあさっての方向を見つめている。
はす向かいに座るキサラはその話に聞き入ればいいのか、食事を進めればいいのか迷う。
だが、隣に座る人物のおかげでそのどちらも出来ない状況だった。