赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
キサラの呟きに「その通りよ」と言ったメルリナは、眉間にシワを寄せ愚痴る様に話し出す。

「十年程前になるわね、ジュークが十四のとき。吸血衝動が強くなってくる前に花嫁を決めろと周囲から急かされて、ふらっと何処かへ行ったと思ったら一人で帰って来て『花嫁を決めて来た』って言ったのよ?」


(十年前……。父さんと母さんが亡くなったころ……)

メルリナの話を聞き流しながら思い出す。

思い出して、一つ疑惑が浮かぶ。
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