赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
慣れない場所に来たばかりなのにぐーすか眠っていた時点で図太い神経をしていると思った。

だが、身の危険を少なからず感じたであろうにあんな言葉が出て来るとは……。


(天然……。いや、馬鹿なのか?)

あの時も、思い出した今も、呆れてものが言えなかった。


そんな風に黙ってしまったジュークに、妖艶な女はにじり寄る。

「本当にどうなさったの? ジューク様、何だか変ですわ」

そう言って差し伸べた手を、ジュークは少し強く振り払う。
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