赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
「何を考えているんだ、俺は……」

意識せず考えていた事に対して焦り、誰が見ているわけでも無いのに頭《かぶり》を振った。


好きかもしれないとか、そんな事はどうだっていいはずだ。

あの娘には何処か遠くへ行って欲しいと思っているのだから。


(こんな事を考えてしまったのは、これの所為か……?)

懐から一通の手紙を取り出し、そう思った。


城の外に出る際、御者が直接手渡して来た。

預かり物だと言って。
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