君の声がききたい
今度は、俺から隼人に話しかけた。




「そうそう。生まれた時から家が近所で、親同士が仲良くてさ」

「沙和とハルちゃんも、家近かったんだよな?」

「うん。小学校低学年の時、沙和が引っ越してきて…それからよく3人で遊んでたよ」

「へー」

「沙和…最初は、左耳は聞こえてたことは知ってる?」

「……!うん。この前ハルちゃんから聞いた。そのあと沙和の親が亡くなって…そっから、両耳聞こえなくなったって」

「そう。沙和が両耳聞こえなくなった頃…俺事故ったんだよね」




隼人は、小さく笑って言った。



「チャリンコ乗ってたらさ…車が俺に突っ込んで来て・・片足なくしたんだ…」

「………」


さらっと言う隼人。



こんなに早く、足のこと打ち明けてくれると思わなかった俺は…

正直戸惑って、言葉が出なかった…




「奏…ずっと気にしてただろ?俺の足のこと…」

「え」

「さっき…ちらちら見てたから」

「いや…あの・・・ごめ…いや」

「ハハ。謝んなよ(笑)そりゃあ気になるよな」

「………」


目を細めて笑う隼人。




「これから奏に会うこと、これっきりじゃないと思うし…足のこと黙ってんのもどうなのかなーって思ってさ・・俺から言うことにした。ごめんな(汗)会ったばっかりなのに、こんなこと言って…」

「…そんな‥謝んなよ」

「ハハ、そうだな」
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