君の声がききたい
「……?」


俺は頬をポリポリとかいたあと、沙和にクルッと顔を向けた。






――『これから…お前が俺に手話を教えてよ』

「………!」



俺の言葉に…沙和は驚いていた。

けどすぐに、パッと顔が明るくなった…そして・・





――『承知しました』

「…家政婦かよ(汗)」

「〜〜♪」


ククッと笑う沙和は、安心したように俺の肩にもたれかかる。

俺も沙和の頭に、顔を乗せると…沙和と目が合った・・



「………」

「………」


沙和の大きくて潤った瞳が…上目遣いで俺を見上げる。



俺は沙和の頬に手を添えて持ち上げ…

沙和にそっとキスをした・・




沙和の頬は冷え切っていて、冷たかった…


だけど唇は温かい…




俺は沙和の唇を覚えるように、何度もキスをする…

そのたびに、沙和はいちいち反応して…なんだかかわいかった……



こんなに可愛くて…

壊れやすくて…

柔らかくて…

愛しいものを…

初めて手にした・・


沙和と引き合わせてくれた、

全てにありがとう…
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