君の声がききたい
――『この前入ってたピザ屋のチラシにね…期間限定のピザがあってー‥超おいしそうだったの♪前だったらあきらめてたけど、今だったら頼めるから今度頼んでみようかなーって』

――『じゃー今頼もうよ』

「……!」


俺の言葉に、沙和は一瞬手を止める。





――『今…?奏・・お腹空いてないんでしょ?』

――『お前がピザの話すっから、ピザ食いたくなった』

「〜〜♪」


クスクスと笑う沙和。



――『携帯で出前取ってみたいんだろ?』

――『うんっ』

――『じゃあ、チラシ貸してみ』

――『あ、待って〜確かあっちにね〜』


手をタオルで拭きながら、リビングに走って行く沙和。

出前を取れるのが嬉しいみたいだ…



俺たちにとっちゃ、日常でなんてことのないことでも…

沙和にとっては、それが特別だったする…


俺たちにとっちゃ、普段の生活で当たり前のことでも…

沙和にとっては、当たり前ではないんだ…



沙和が不便とか‥不自由だとか思っていることを、

全てやってあげたい…


沙和の夢を叶えてあげたい…



そう思った。













ピンポ――ン


「「わんっわんわんっ」」
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