君の声がききたい
ちらっと、横にいる沙和を見ると…沙和は恵里佳を見て驚いている様子。

俺は沙和の手を引っ張っり、恵里佳を無視しようとした…




「奏!」


しかし…恵里佳は俺の服を引っ張り、俺を引き止める。




「離せ…」

「お願い!もう一回話を聞いてよっ」

「無理」

「話があるの!」

「俺はないから」

「………ひっく」


泣いた。

なんで泣くんだよ…

意味わかんねえ。




「恵里佳…」


すると、どっから出てきたのか知らないが…美穂が恵里佳の背中をさすり始める。




「美穂」

「え…?」

「恵里佳に伝えて」

「……なんて?」

「“もう話しかけんな”って」

「………!」


俺はそう言って、沙和の手を引き歩き出した…

後ろから、恵里佳が泣く声が聞こえてくる。


そんなのはどうだっていい。



沙和を見ると…

沙和は何度も後ろを振り返って、恵里佳を気にしている。


不安そうな顔…

そりゃあそうだ。


きっと…

俺は今、沙和を不安にさせてる…
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