君の声がききたい
ハルちゃんに問いかける俺。


「あそこの公園の前」

「公園か。とりあえずそこまで行くか」


俺たちは、ハルちゃんに案内されながら公園に足を運ぶ。







「ここ。ここで私が携帯がないことに気づいたの…それでそこの公園のベンチが目に止まったから、沙和に“ここで待ってて”って言って…私は走って大学まで戻ったんだけど…」


その公園は、結構広くて…公園というより広場という感じ。

大学の近くにあることは知っていたが、こうして入るのは初めてだ。





「それ何時くらい?」

「…確か・・4時過ぎくらいだったかな。私が携帯を取りに行って戻って来るまで…10分くらいだったと思うんだけど…」

「その10分の間に…沙和ちゃんに何かあったのか…」


修也も心配そうに、辺りをキョロキョロしている。




「一応、もう一回大学に戻って、大学内もあちこち探したんだけど、どこにもいなかった…」

「そっか…」

「今日の夜みんなで飲みに行く約束してたでしょ?それまで時間があるから、沙和の家に行く約束してたんだけど…もしかして先に帰っちゃったのかと思って、沙和んちにも行ってみたけど、帰ってないみたいで…」

「・・・・」

「私のせいだ…沙和をひとりにしたせいで……沙和になにかあったら私っ・・・」


ハルちゃんの目から、ポロッと涙が落ちる…

隼人がハルちゃんの頭をなでた。





「とにかく…俺もこの辺探すから…」

「俺も行くよ」


俺と修也は、バックをベンチの上にドカッと置いた。
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