君の声がききたい
「隼人とハルちゃんは、ここに残っててくれ。もしかしたら沙和が戻ってくるかもしんねえし…」

「わかった」


コクリと頷く隼人。



「なんかあったら連絡して」

「うん、気をつけろよ」


俺はそう言って、携帯だけポケットに入れ走り出す。





沙和……

沙和っ…


心の中で、何度も沙和の名前を呼ぶ…




「ハァ…ハァ」


大学の正門の前で、足を止める俺…

正門はもう閉まっていて、大学の校舎は真っ暗になっていた。


携帯を出して時間を確認すると…今はもう7時過ぎ。




沙和…

もしかして…事故に遭ったんじゃ…

それとも誘拐…


考えることは、最悪な結末ばかり。




とにかく…

俺は走って大学の周辺や、駅前…

沙和が行きそうな本屋や服屋、雑貨屋などを探し回った…


だけどどこを探しても、沙和の姿はなく…

俺は走って苦しくなる息と、滴り落ちる汗、

汗で肌にぴたりとくっつくTシャツ。



だんだん奪われていく体力…


いや、俺のことはどうだっていい…
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