君の声がききたい
トン

「沙和」


沙和の背中を叩き、自分から離して顔を覗き込む。

今日散々泣いている沙和の目は、かなり赤くて腫れていた。



――『…わかったよ』

「――!」

――『あいつらのこと…許すことはできねえけど、もう怒んねーよ…』

「…………」

「これでいいだろ…?」


沙和はフッと笑って、俺の胸に顔をうずめた。



こいつ…俺のTシャツで涙拭いてねえか(汗)?

いいけど。




――『もうないの?』

「!」


沙和は少し考えたあと、俺から体を離し、腫れた目をして言った。




――『デートしたい!』

「いいよ。どこ行く?」

――『ディズ○ーランド!』

「いいよ。あとは?」


――『指輪が欲しい』

「…いいけど。それは俺が選ぶの(汗)?」

――『もちろん!奏が選んでくれた指輪が欲しいの!』

「う…(汗)頑張るよ…あとは?」

「………」

「…沙和?」


次のお願いを言おうとした瞬間、沙和は一瞬ためらった…




「…どした?」

「・・・」

「なんでも言えよ…」

「………」


コクリと頷く沙和。そして…
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