君の声がききたい
「向こうにいる間、たまに“私の判断は間違ってたのかなぁ”とか思ったりした日もあったけど…沙和から“同棲したい人がいる”って聞いて・・今日奏くんに会って、あの子の顔見たら…私の判断は間違ってなかったんだって…確信したわ」

「紗江子さん…」


「あの子、たくましくなったわねえ。奏くんのおかげかしら?ふふ♪」

「はは」

「沙和のこと……よろしくお願いします…」

「………!」


紗江子さんは、俺に深々と頭を下げる。

俺は「はい…」と言って、紗江子に頭を下げた。


そのあとすぐに沙和がトイレから戻って来て…

俺たちは紗江子さんが乗る飛行機の時間まで、他愛のない話に花を咲かせた。







――『じゃーね、沙和!お正月は連休取って、帰るから…』


紗江子さんの乗る飛行機便が立つ時間…俺は沙和と、紗江子さんを見送る。



――『わかった!仕事頑張ってね』

――『うん!奏くんと仲良くね〜なんかあったら、いつでも連絡しなさいよ』

――『わかってるって』


沙和の頭を撫でる紗江子さん。




――『あとこれ、お土産♪』

――『なにこれ?』


紙袋を、何個か沙和に渡す紗江子さん。

なんか荷物が多いと思ったら…沙和への土産だったのか。



――『この間、仕事でドイツ行ったから…ビールと。あとあんたが好きなニューヨークのカップケーキと、私がデザインした新作の洋服』
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