君の声がききたい
ハルの方に顔を向けると、ハルは奏たちを見ながら、手話で話し始めた。



――『奏くん…なんか本読んでるね』




奏を見ると…奏は本を真剣な顔で見ている。

あれは多分…




――『手話の本だよね、きっと…奏くん、頑張ってるんだね』

………。

ハルの言葉に、私は頷いた。



ハルには、奏のことを話した。


奏に告白されたことも…

奏が手話を覚えたら、付き合う約束をしたことも…

ハルは全部知っている。




――『てゆうかさ…奏くんの隣にいる人たちは、奏くんの友達だよね?』




――『ああ。奏の隣にいる男の子は、修也くんっていって…奏の小学校の時からの友達みたいよ!』

――『ふーん…じゃあ・・その修也くんって人の隣にいる女2人も、奏くんの友達?』

――『……!』


眉をしかめて言うハル。


奏たちの方を見ると…修也くんの隣に、確かに女の子2人が座っている。



あの子たち・・・


――『前に奏と飲みに行った時…あの女の子たちもいたよ』

――『へー』

――『確か…修也くんの隣にいる子は、修也くんの彼女なんだって』


確か奏が言ってたもんな…




――『あのおかっぱの子?』
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