君の声がききたい
私はハッと我に返り、奏からの質問に返事を書く。





《特にないよ》

《そっか》


奏は優しく微笑んだ…




変わったこと…

本当はあるよ。


でも奏には言えない…





《俺 そろそろ行くよ 手話の勉強したいから》


・・・・。


奏が席を立つ。

気持ちが少し沈むのがわかる。だけど笑顔で頷いた。




《また昼めし食おうな》

《うん》

《なんかあったらすぐメールして 俺もするから》


奏が言った言葉にドキッとしたあと…私はコクっと頷いた。



「じゃあまたな」


手を振りながら、私から離れていく奏。

そして奏の背中を、見えなくなるまでぼんやりと見つめたあと…

奏と会話していたノートに目をやった…




奏の男っぽくて、少し大きめの字を見返す…

最近は、奏と会話したノートを何回も読み返してる私…




“また昼めし食おうな”


“なんかあったらすぐメールして 俺もするから”


読み返すだけで…少し恥ずかしくなる……



“俺もするから”って…

本当にメールしてくんのかな…
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