君の声がききたい
「最初はさ…沙和の見た目に惹かれてても、いざ耳が不自由な人と向き合ってみると…軽い気持ちでは付き合っていけないことに気づくんだよね、きっと…」

「………!」

「それが重くなって…沙和から離れていっちゃうんだよ。」

「・・・・」

「だからさ。沙和は奏くんに『私のこと本気なの?』って聞くんだと思うよ。軽い気持ちで自分とは付き合えないってわかってるからさ…」


!!

「そう‥か」

「うん…もう傷つきたくないんだよ。」

「………」


なるほどね。

告った時の沙和のあの表情の意味が、やっとわかった気がする…




「でもさ・・じゃあどうやったら、俺が本気だってわかってもらえんのかな…」

「……やっぱり・・“時間”をかけるしかないんじゃない?」

「…時間ね‥」


すぐには付き合えないってことか……



「頑張って。大丈夫だよ…沙和だって、奏くんのこと好きだって」

え…


「そーなの…?」

「好きだと思うよ。見てればわかるもん…ただ今は不安なだけだよ……」


そう…なのか……

沙和は俺のこと・・


ちょっといい気分になり、缶コーヒーをグビグビと飲む俺。





「奏くんの気持ちわかったし…私も応援するから、なにかできることあったら言ってね!」

「…ありがと」


ハルちゃん…いい子だな。

なんか話してて落ち着くし…

友達思いだし…




「ねぇ…ひとつ聞いていい?」

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