君の声がききたい
「…………」


メールの相手は、恵里佳からだった。

俺は舌打ちをして、携帯をポケットにしまう…


爽やかだった気持ちが、

一瞬にして崩れた…




イライラする。








カツカツカツ


………!


すると、向こうから沙和が走って来るのが見える。

俺も小走りで走り、沙和に近づいた。




――『おはよー』


息を切らしながら、俺に手話で挨拶する沙和。



――『おはよ。早いな』

――『うん♪』


俺が手話で返すと…沙和はニコッと笑った。




落ち着く…


沙和の笑った顔…



――『遅れるから行こうか?』

――『そだね』


俺たちはホームに向かい、電車が来るまでベンチに座って待つことにした。




トントン


キョロキョロする沙和の肩を叩き、話しかける俺。




――『荷物…多くね?』

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