HERO
「ごめんなさい」


「いや、わんこなんて嫌い」



ピタリと親指の動きが止まる。


わんこの顔を見ると、困った顔をしていた。



ああもう、この顔やめてほしい。


あのCMのあのチワワちゃんのあの顔に似てるよ。



「どうしたら、許してくれる?」


どうしたもんかな、どういう答えをだせば、わんこは困るかな。


ああ、思いついた。


きっと、困ってしまうだろうな。



「なら、私とシてよ。なら許してあげる、特別にお金払わなくていいから」



もう本当に、想像通り。


わんこはさらに困った顔をした。
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