HERO
「美亜さん、それは駄目だよ」


「どうして?私を助けてくれるんでしょ」



零れる私の涙が、わんこの頬に落ちる。



非力な私が押さえつけてる、強い男の、わんこの腕。


それでもわんこは、私から逃げようとはしなかった。



きっと逃げようと思えば、力づくで逃げれるだろう。



「意味のないセックスはしたら駄目」



そうだね、わかってたよ。


わんこはきっとそう言うだろうって。



じゃあどうやって、わんこは私を助けてくれるの?



「美亜さんが、一番よくわかってるでしょ」



どうしてそんな言葉を、わんこが言ったのかはわからなかったけど。


でも、その言葉は、その通りだ。



意味のないセックスは、人を傷つける。
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