HERO
「さ、そろそろ帰ろっか、美亜さん。もう校外から来てる人も帰ってるみたいだし。あんまりここにいると不審者になるから」


「ここにいなくてもわんこは不審者でしょ」


「え、ひどい!美亜さんこわい!」



私はあんたがこわいよ、わんこ。


ジュース一本で仕事引き受けるなんて、世間知らずにもほどがあるでしょ。



それに。


一番こわいのは、わんこの笑顔に、たまにドキッとすることだ。



きっとなんかの呪いだ、わんこの呪いだ。



だってこんなの、私じゃない。


こんなの、今までなったことない。



これは、何なんだ。
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