HERO
「わかった、でも、何かあったら絶対連絡して」


「はいはい、わかったから、わんこは寝てて、お願いだから。帰ってきて熱上がってたら、許さないからね」



わんこは、笑ってたけど、申し訳なさそうな顔だった。


書類を受け取って、わんこの部屋を出た。



ドアを開閉する音のせいで、そこにいたブルーがこっちを見る。



頼ったりしない、絶対頼ったりしないけど、でも。


わんこのために。



「あんた今日休みなら、ここにいてあげて。わんこ、熱、あるから。何かあったら、面倒みてあげて」



今日だけは、お願い。


ブルーの返事も待たずに、私は外へ出た。



嫌だなんて、言わせない。
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