HERO
「確かに、初めて会ったあの日、頼まれて美亜さんの所に行った。
でもその後、ここに置くって決めたのは俺だし、美亜さんを救いたいって思ったのも事実だし」



何が真実で、何を信じたらいいか。


違うね、私が何を信じたいか。


誰を信じたいか。



最初から、答えは一つに決まってたはずなのに。



「美亜さんを助けてあげてほしいって、よろしくお願いしますって頼まれて。会った瞬間、ああ、俺の傍に置いておかなきゃこの子は壊れてしまうって思った」



馬鹿だね、わんこ。


人がいいにもほどがあるんじゃないかな。



見ず知らずの女を、傍に置いておかなきゃだなんて普通思わないよ。


いくらよろしくお願いしますなんて言われたからって、普通、そんなことしないでしょ。
< 367 / 441 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop