HERO
「勝手に言ってろ」



そう言って立ち上がったブルー。


スタスタと玄関の方へ歩いていってしまう。



「待ってよ」



追いかけて腕を掴むと、逆に掴まれて、そのままブルーの胸まで引っ張られる。


どうなるかって、そう、抱きしめられてるの、私。



状況が掴めなくて、ただ呆然としてた。



「何してんだよ!」


後からきたわんこがそう言うと、ブルーは私を解放した。



そしてそのまま、出て行ってしまった。


人を待たせてるって言ってたから、きっと今から会いにいくんだろうな。



「大丈夫なのかな」


わんこはそう呟いたけど、私は大丈夫だってわかってた。



だってね。



お前のこと、殺さなくてよかった


ブルーは私を抱きしめたとき、そう言ったから。



ブルーは、大丈夫。
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