HERO
「ただいまー!」


そんな大きな、甲高い声。


その声の主は、部屋に入って来るなり早々、荷物を投げ捨てて。



「きゃー!ピーマンだ!会いたかったー」


なんて言って、わんこに抱きついた。


知ってる、この人。



セイラって人、私の前に、ピンクやってた人。


どうしてここにいるの。


どうしてわんこに抱きついてるの。


どうして、わんこはそんなに笑ってんの。



どうして、これっぽっちも嫌がらないの。



「本物だー、あはは、ピーマン笑えるー」


全然笑えないんだけど。


セイラって人は、抱きついた腕を離したかと思えば、今度は髪の毛をわしゃわしゃしたり、ほっぺをむにむにしたり。



って、犬かこら。


いや、確かに私はわんこって呼んでるけども。
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