HERO
「ばーか、するわけないし。とーまとキスするくらいなら、死んだ方がマシだわ」



なんて言いながら、とーまから離れる彼女。


とーま、どんだけ嫌われてんだ、ざまあみろって思ったけど。



キスすればいいって思った。


本当に、彼女はとーまに会いに来たのならよかったのにと思った。



だってそしたら、さっきのわんことのハグが、ただの挨拶がわりみたいなもんだって思えるから。


いや、きっと多分、本当はそうなんだけど。



でも、実は彼女とわんこの間に何かあるんじゃないかって。


ちょっと、思ってしまうんだ。



彼女がいたときのこの場所を、私は知らないから。
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