HERO
「で、一体何をしに来たのですか?」


「帰ってきたんじゃん、見ればわかるでしょ」



彼女がそう言うと、とーまとわんこは目を合わせた。


帰ってきたって、何?


辞めたんじゃなかったの、嫌になったんじゃなかったの。



私は、どうしたらいいの。



「セイラ...あのね、今、ピンクは美亜さんがやってくれてるの」


「美亜さん?誰それ」



彼女が、ようやく私を見つけて、じっと見てくる。


さっきまでの笑顔はどこかへ行ってしまっていて、今は何ていうか、無表情。



「どっかで会ったことある気がする」


「多分、セイラが辞めたその日だよ」


「あー、思い出した」



そんな、あからさまに嫌そうな顔しなくてもいいのに。
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