HERO
そっと私に近づいて、キスをしたんだ。


軽く、本当に軽く触れるだけのキス。



顔を離した彼は、にっこり笑ってた。




「これでやる気でた?」


馬鹿なりの精一杯の努力なんだろうか。



そしてやる気とは、ヤる気のことだろうか、キスなんかしちゃって。



「でない、全然でない」


なんて言いながらも、私は彼にキスをした。



別に深い意味なんてない。


してくれたから、してあげた、みたいな。



唇を離すと、困った顔をした彼がそこにいた。
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