HERO
「...君の、言う通りだ」



教授は、遠くの方を見てた。



窓の外。


カラス飛んでるけど、まさかカラス観察が趣味ですとか言わないよね。




「教授になった当初は、授業をすることに熱心になっていた。でもある時、単位を落とした生徒がもう一度私の授業を受けていたんだ」




まだ窓の外を見ている教授。



カラスは、もういなかった。




「その生徒に言われたんだ。先生の授業の内容も、言葉も、前に聞いたのと同じでつまらないって。
よく考えると、もう何年も同じ授業をして、内容はともかく、言葉が、台本化していたんだ」




私は心の中でその生徒に、よく言ったと呟いた。
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