HERO
「しないよ、私お金くれないとヤらない。だから、しない」



「俺も、好きな人としかヤらない。だから、しない」




何だか、自分が惨めになる。



わんこがもっと笑い飛ばしてくれたら、よかったのに。



そんな真面目な顔で言われたら、私の言葉は、最低でしかない。




「さ、帰ろう。美亜さんの好きなお菓子、買ってあげる」



わんこのくせに。


馬鹿のくせに。



きれいな流れで収めちゃってさ。


もう何も言えない。



初めっから、別に何もいらなかったんだ。




欲しいものなんて、何もない。
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