雫のゆくえ
髪も顔も汗と水でびっしょりの彼に、
「あ、タオル…」
使いなよ。そう、言うより早く、
彼はTシャツの裾をめくり上げ、顔を拭いた。
ちらり、見えた、彼の腹筋。
意外だった。
いつも近くにいて、中学の時から変わらないと思っていたのに、
彼のカラダはオトコの人。
少しだけ見える鍛えられた腹筋。
髪から流れる水が、引き締まった彼の腕を伝い、
そして、肘から滴り落ちる。
私は、少し差し出していたタオルを自分の方に戻して後ろに持ち直す。
彼の少しだけ見える腹筋と、
仕草、
滴る雫から、
目がそらせなかった。