あひるの恋




「大丈夫?さっきから体調良くなさそうだけど」




優しめな声で話しかけてきたのは、同級生でもなく、保護者でもなく、先生だった。




「こういう人が密集してる所、苦手なんです。」




つい孤独感から解放されたせいか、ボソッと本音を呟いてしまった。




「そっか、人が沢山いる所は苦手かー…」




そう言うと先生は、温かい手で私の冷たい手を掴み、僕について来てとばかりに手を引き、歩き始めた。




こんなの初めてだった。




こんなに優しい人は生まれて初めてで、とってもとっても嬉しかった。




そして胸が痛くて、自らの体温がグングン上がって、鼓動は高鳴り、貴方に聞こえてしまわないかっと心配になるぐらいドキドキした。




あぁ、これが恋なんだ。




そう感じた瞬間だった。




先生が手を引いた先は、中庭の先にある植木で出来た隠れ家のような場所だった。




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