あひるの恋
人見知りなのに、自分…。
ここは敢えて無視しよ……。
「ねぇアンタ、無視してんじゃねーよっ」
急に腕を強く掴まれた。
怖い………。
どーしよ、凄い嫌だ……。
「1時間目は音楽の授業だぞ~。」
声が聞こえた方を見上げると、其処には1時間目の音楽の先生かと思われる男の人が立っていた。
眼鏡をしていて、身長は低いけど美形美男子って感じ…。
クール系男子ってやつですか~。
なのに、授業に使うであろうリコーダーを肩に担いでる所が可愛らしい…。
「面倒くさい奴来たから、やめとくわ。」
するとヤンキー男子は私の腕を離す。
助かった~…。
「大丈夫か?」
問い掛けてきたのは音楽の先生だった。
「はい、先生が来て下さったおかげで助かりました。」
「そうか、良かった。」
無表情だったけど、凄い安心する声だった。
無事に一時間目が終了した。
授業が終わった後に、助けて下さった音楽の先生にお礼をしようと話しかけることにした。
「あの…」
「大丈夫、何かあったら遠慮せずに言え。分かったな?」
頭にポンっと置かれた先生の手の平は温かく、小さいはずなのに大きく見えた。
ニコッと笑うと先生の顔は優しくなった。