ご奉仕ワーリィ
葛藤たる焦らし行為
(一)
彼の指は、調律師のように繊細だ。
動きは細やかに、どこをどう触ればどのように鳴るのかも熟知しているようで。
「陛下、今日は特に感じてらっしゃるようですねぇ」
私は彼の思うがままに声をあげてしまう。
下から引き上げられた、私に見せびらかすかのような彼の指先が、月明かりに照らされて、ねばついた光沢が付着しているのを知る。
人差し指と中指に行き渡るその液体を、彼は親指で吟味するかのように擦り合わせながら、面白おかしそうに私の顔を見てきた。
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