伊坂商事株式会社~社内恋愛録~
「辛かったよね。よく我慢したね。私が頼りないから気付けなくてごめんね」
「莉衣子……」
莉衣子がわんわん泣くから、私まで泣きそうになった。
腕を組んでいる宮根さんは、
「昨日の夜は、莉衣子ちゃんをなだめるので大変だったんだから。でもまぁ、俺も聞いた瞬間、許せないと思ったし」
「私は『そんなやつぶっ殺してやる』ってキレてた宮根をなだめるのが大変だったけど」
企画課のアネゴである篠原さんが横から口を挟んだ。
「偉そうに言って。あんたも宮根さんと一緒になってキレてたでしょうが。頼むからもう二度とふたりで暴走しないでください。止めるのに手を焼く」
さらに横から口を挟んだのは、企画課の、確か、沖野さんとかいう人だ。
でも、私は何が何なのかわからないままで。
山辺さんは苦笑いで肩をすくめ、
「ここにいるみんなには、やむを得ず事情を話してしまった。すまない。でも、信頼できるから大丈夫だよ」
「一体、何をしたんですか?!」
私は前のめりに問うた。
「昨日の夜に、どうするべきかと考えていた。そしたら、そういえば美紀ちゃんと宮根くんが仲がいいということを思い出した。だから、不本意だけど宮根くんに電話した」
「………」
「そしたら、意外にも、きみは宮根くんの恋人の親友だと言うじゃない。だから集まってくれたんだ」
「………」
「で、宮根くんが電話した篠原もきて。篠原が沖野くんを呼んで。みんなそれぞれの理由はあったようだが、許せないという共通の思いで、協力してくれた」
篠原さんは私の頭を撫でる。
「別に山辺くんのためじゃない。パワハラにモラハラで、さらにはセクハラでしょ? 気持ち悪すぎてヘドが出るわ。そういうやつは地獄に落ちてあそこを切られた痛みに千年耐え続けさせるくらいでも足りないわよ」
「篠原さん……」
「大体、上司とか以前に、そんな男がいるっていうこと自体、許せない。女を馬鹿にしすぎてるわよ。あー、腹が立つ。まだ怒りが収まらない」
自分のことのように怒ってくれる、篠原さん。
ほとんど面識はないはずなのにと思うと、私は感謝と申し訳なさで泣けてきた。
「莉衣子……」
莉衣子がわんわん泣くから、私まで泣きそうになった。
腕を組んでいる宮根さんは、
「昨日の夜は、莉衣子ちゃんをなだめるので大変だったんだから。でもまぁ、俺も聞いた瞬間、許せないと思ったし」
「私は『そんなやつぶっ殺してやる』ってキレてた宮根をなだめるのが大変だったけど」
企画課のアネゴである篠原さんが横から口を挟んだ。
「偉そうに言って。あんたも宮根さんと一緒になってキレてたでしょうが。頼むからもう二度とふたりで暴走しないでください。止めるのに手を焼く」
さらに横から口を挟んだのは、企画課の、確か、沖野さんとかいう人だ。
でも、私は何が何なのかわからないままで。
山辺さんは苦笑いで肩をすくめ、
「ここにいるみんなには、やむを得ず事情を話してしまった。すまない。でも、信頼できるから大丈夫だよ」
「一体、何をしたんですか?!」
私は前のめりに問うた。
「昨日の夜に、どうするべきかと考えていた。そしたら、そういえば美紀ちゃんと宮根くんが仲がいいということを思い出した。だから、不本意だけど宮根くんに電話した」
「………」
「そしたら、意外にも、きみは宮根くんの恋人の親友だと言うじゃない。だから集まってくれたんだ」
「………」
「で、宮根くんが電話した篠原もきて。篠原が沖野くんを呼んで。みんなそれぞれの理由はあったようだが、許せないという共通の思いで、協力してくれた」
篠原さんは私の頭を撫でる。
「別に山辺くんのためじゃない。パワハラにモラハラで、さらにはセクハラでしょ? 気持ち悪すぎてヘドが出るわ。そういうやつは地獄に落ちてあそこを切られた痛みに千年耐え続けさせるくらいでも足りないわよ」
「篠原さん……」
「大体、上司とか以前に、そんな男がいるっていうこと自体、許せない。女を馬鹿にしすぎてるわよ。あー、腹が立つ。まだ怒りが収まらない」
自分のことのように怒ってくれる、篠原さん。
ほとんど面識はないはずなのにと思うと、私は感謝と申し訳なさで泣けてきた。