伊坂商事株式会社~社内恋愛録~
「私今日、誕生日なの」
真顔で言う篠原班長。
ほんとに、まったく、この人は。
「そういうことは早く言え」
「だって、さっき思い出したんだもん」
「ありえないですよ、さすがに。大事なことでしょうが」
「そう? じゃあ、プレゼントちょうだい」
手の平が差し出される。
親にお小遣いをねだる子供みたいな顔だ。
「何がいいですか?」
諦め半分で聞いてみたら、
「んー。とりあえず癒しとか?」
「カレシ?」
「癒し」
「飯?」
「癒しだってば」
篠原班長は呆れたように笑った。
だから俺も笑ってしまう。
「俺といるだけであんたもう十分癒されてるでしょうが」
篠原班長は、「自意識過剰だ」と、また笑った。
こんなに笑ったのなんて、久しぶりなのかもしれない。
何だかもう、それだけでいいと思った。
ゆっくりと、時間をかけて、俺たちは俺たちなりの形を見つければいい。
END
真顔で言う篠原班長。
ほんとに、まったく、この人は。
「そういうことは早く言え」
「だって、さっき思い出したんだもん」
「ありえないですよ、さすがに。大事なことでしょうが」
「そう? じゃあ、プレゼントちょうだい」
手の平が差し出される。
親にお小遣いをねだる子供みたいな顔だ。
「何がいいですか?」
諦め半分で聞いてみたら、
「んー。とりあえず癒しとか?」
「カレシ?」
「癒し」
「飯?」
「癒しだってば」
篠原班長は呆れたように笑った。
だから俺も笑ってしまう。
「俺といるだけであんたもう十分癒されてるでしょうが」
篠原班長は、「自意識過剰だ」と、また笑った。
こんなに笑ったのなんて、久しぶりなのかもしれない。
何だかもう、それだけでいいと思った。
ゆっくりと、時間をかけて、俺たちは俺たちなりの形を見つければいい。
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