伊坂商事株式会社~社内恋愛録~
「馬鹿にしてるわけじゃない。俺は本当のことを言ってるだけだ」


その言葉がさらに私に火をつける。

私は怒りと羞恥でわなわなと震えた。


だけど、そんなのお構いなしらしい瑛太は、煙草を消し、また私の上に乗る。



「なぁ、もう一回しようよ」

「やだ」

「いいだろ? 久しぶりなんだから」

「もう無理だよ」

「でも俺はしたいんだよ」


何その、自分勝手な台詞は。

そう思った瞬間、私は瑛太の体に腕を突き立てていた。



「やだ! もうやだ! 瑛太の馬鹿!」


涙が溢れてくる。

突然、泣きじゃくり始めた私を、瑛太は困惑しながら見つめ、



「何だよ? どうしたんだ? マリ、今までそんなこと言ったことなかったろ? しかも、泣いてる意味わかんないんだけど」


瑛太はめんどくさそうな顔で息を吐く。


やっぱり瑛太は私の体さえあればいいんだと思った。

でも、だったら、喋らないお人形とでもやってればいい。



「少しは私の気持ちだって考えてくれればいいでしょ!」

「だから、カレシ作りたいんだろ? 俺はそのためにアドバイスをしてるだけで」

「何でわかんないのよ!」

「はぁ? お前、さっきから何言ってんだよ、一体」


瑛太は完璧に呆れているみたいだった。

私は唇を噛み締める。



「瑛太なんて大っ嫌い!」


瑛太は私に向けて、長いため息を吐き出した。

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