伊坂商事株式会社~社内恋愛録~
仕事?
俺に取れない契約はないでしょ。
恋愛?
俺が落とせない女はいないでしょ。
「やめてください、宮根さん!」
なのに、どうして莉衣子ちゃんは、未だに俺を拒否するばかりなのか。
資料室で唇を奪った瞬間、莉衣子ちゃんは涙目で大暴れ。
少し、いや、かなりショックなんだけど。
「一週間も出張で莉衣子ちゃんに会えなくて辛かったのに。約束通り、契約だって取ってきたのに。なのに、何がダメなの」
「ここは会社です!」
「でも誰も見てないでしょ」
俺は莉衣子ちゃんを強引に抱き締めた。
あぁ、癒される。
ほんとに好き。
「はな、離してくださいぃ」
ばさばさと、棚から資料が落ちてくる。
それに気を取られた莉衣子ちゃんの唇をまた奪う。
可愛くてたまらない。
「こ、こういうことは夜にしてください」
消え入りそうな声で言う莉衣子ちゃん。
俺はにやりとする。
「夜ね。はいはい。でももうちょっとだけ」
「ちょっ」
また暴れようとした莉衣子ちゃんの腕を押さえ付けた瞬間、ガチャリとドアが開いた。