幼なじみとの距離
「…そんな、ネクタイもまともに結べない男なんて綺麗なお姉さんが居たとしてもモテないと思うけど」
泣きそうになったけど、それを悟られたく無くて、また出てくるのは可愛くない言い方。
「だって、ネクタイとか普段結ばねーし!」
「不器用な癖に、無理にスーツなんて慣れない物着ようとするからでしょ」
「そんなん言うならお前やってみろよ!」
「はぁ?何で私が!」
嘘だよ。
本当はネクタイを結ぶ姿に瞬ちゃんが大人になったみたいでドキドキして、でもそれが他の女の人の為だと思うと悲しくて、心とは裏腹、出るのは可愛くない言葉ばっかり。
あぁ…もう何でこうなっちゃうんだろう…。
自分の意地の強さに悲しくなって来る。
じわっと涙腺が緩んで涙が溢れそう。
「おい、聞いてんの…って、ちぃ?」
泣きそうなのがバレたく無くて慌ててそっぽを向く。
「おい…」
「触んないで…!」
「はっ?おい、ちぃ…」
「やっ…!っひゃあ…!」
一瞬何が起こったのか分からなかったけど、多分、私を振り向かせようと手を伸ばした時にちょっと距離があったからバランスを崩したんだと思う。
瞬ちゃんがベッドに倒れて来て、今の体勢は端から見たら私が押し倒されてるような状態…。